定期的に行う管理
法定点検をやっていれば管理状態は万全かというと、そんなことはありません。
むしろ法定点検は、最低限これだけはやっておかないと、もしものときにその建物の利用者や所有者の生命・財産に危機がおよぶ可能性が高いものだけを義務化しているもので、いうなれば最低限やらなくてはいけない管理です。
▶ 参考:賃貸住宅の法定点検
大家さんが行わなくてはいけない管理には他に、日々を快適に暮らしていくための定期的・日常的な管理があり、必要に応じて組み込んでいく必要があります。
こまめに点検などを行っていれば、故障や不具合などを早めに発見することができ、重大な事故などを未然に防ぐことができます。
常日頃からおこなう管理(巡回点検業務)
月に1~2回程度建物を巡回して、敷地内の状況や建物の外観、設備機器の異常がないかなどを点検します。
基本的にはチェックシートを用いながら目視による確認を行い、箇所や機器によっては触診・打診・動作確認・測定確認などを行います。
そこで不具合がみつかれば早めに適切な処置をすることができますので、大きなトラブルに発展することや入居者からクレームの電話をもらうことも少なくなります。
同時期に建てられたマンションでも、小奇麗で築年数を感じさせないものもあれば、築年数以上に老朽化が進んでいるように見える物件もあります。
その一因が巡回点検業務にかける手間と予算の差です。
こまめな巡回点検や手入れが、資産価値の維持に大きな効果を発揮します。
▶ 参考:賃貸住宅の巡回点検業務
清掃業務(日常・定期・特別)
清掃は、入居者が快適で暮らしやすい環境を整えるうえで最も基本的かつ重要な業務です。
日常的に行われるのは、掃き掃除や拭き掃除がメインの日常清掃です。
普通の賃貸マンション・アパートの場合は物件の規模にもよりますが、だいたい月に2~4回くらいの頻度で1~4時間程度、巡回清掃員が入ることが多いです。
物件の規模に清掃回数(工数)が合っていないと、建物は汚れがちになり、入居者のマナーも悪化しやすくなり、ますます汚れるという悪循環に陥りますので、清掃の回数(工数)を適切に保つことは重要です。
また、こまめに日常清掃を行っていたとしても、毎日少しずつ経年と共に落ちにくい汚れは蓄積されていき、新築時はピカピカだった床も壁も徐々にくすんで、少しこすったくらいではキレイにならなくなります。
そういった汚れは、年に1~6回くらいの頻度で定期的な清掃(定期清掃)を行います。
床タイル面をポリッシャーなどを用いて機械洗浄を行うことが一般的です。
その他には、大型のガラス面がある場合のガラス清掃、腰壁に雨だれがついて汚くなってきたときなどには高圧水洗浄、高所にある機器や照明などの清掃、タイルではなく石面がある場合などは素材に応じた特別な清掃を行います。
▶ 参考:賃貸住宅の清掃業務
設備管理業務
賃貸住宅には、受水槽やポンプ、自火報、オートロックやエレベーターなどの機械設備が備えてあることが多いです。
これらの設備が不安定だと、入居者の暮らしも安全・快適なものではなくなり、最終的には賃貸経営の安定性にも影響を及ぼします。
10年、20年という長期スパンで利用する設備には、補修がつきものです。
修理をめんどくさがって完全に壊れるまで放置すると、重大な事故につながる可能性もあります。先送りにするほど費用もかさみがちです。
そのようなリスクを回避して安定稼働状態を維持し、効率的に運転させるためには、適切な周期で点検や動作確認を行い、軽微なうちに手を打つ予防保全の考え方が大事になります。
▶ 参考:賃貸住宅の設備管理業務
機械警備業務
物件によっては、セコムやALSOKのような機械警備システムを導入している場合もあります。
機械警備とは、警備員などの常駐職員がいない代わりにセンサーなどを建物内に設置して、侵入や火災などの緊急事態や、貯水槽の満減水などの設備異常を機械で察知して発報、遠隔地で監視している警備員が急行して初期対応を行うという警備業務のことです。
基本的な機器管理や初期対応は警備会社が行ってくれますが、どのようなオペレーションになっているかはよく確認をしておきましょう。
夜間などにいきなり警備会社や警察・消防から電話が入ってびっくりすることになります。
管理人業務
物件の規模によっては、巡回・午前のみ・午後のみ・終日、など様々なパターンで管理人を置いているケースもあります。
大型物件やハイグレード物件などでは、管理人、ではなくコンシェルジュをおいて、クリーニングや宅配便の受付などを行うことも増えてきました。
シフト管理や採用活動など管理人の管理は結構大変です。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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