建築基準法(国土交通省)に準拠する法定点検 ~ 特定建築物等定期報告

特定建築物等定期報告とは、建築基準法第12条の第1項(特定建築物)と、第3項(防火設備、昇降機等、建築設備)に定められている、定期調査及び報告業務です。

 

市役所などの都市計画課や建築課、まちづくり課のような建築系の部署が担当していることが多いです。

「特定建築物等定期報告+行政区名」などで検索すると、詳しい情報にたどり着けます。

定期報告が必要な項目は、

  • 建物自体を調査する「特定建築物定期調査」
  • 換気や排気、非常灯、給排水を確認する「建築設備定期検査」
  • エレベーターやエスカレーターの安全を確保する「昇降機等定期検査」
  • 防火扉や防火シャッターなどの防火設備をみる「防火設備定期検査」  があります。

毎年もしくは3年に一度行うことを義務づけられています。

 

これらの法定点検や報告などの義務は、台風で劣化していた看板や壁面タイルが落下したり、雑居ビル火災で避難経路や防火設備、排煙設備に不備があったり、エレベーターの誤作動で扉が閉まらなかったり、といった点検やメンテナンスの不良から痛ましい人身事故が起こるたびに厳格に見直されていく傾向にあります。

 

特定建築物定期調査

劇場・百貨店・ホテル・病院・物販店・共同住宅・事務所などの一定規模以上の「特定建築物」に対して、建物の躯体、外壁、外部設置機器、塀などの劣化状況を点検し、落下等による事故を未然に防止するために行われます。

どの建物が「特定建築物」となるか、どのくらいの頻度で行う必要があるかは、行政によって異なります。

賃貸住宅の場合、厳しい地域だと3階建て以上、1,000㎡以上などの規模から該当する場合があります(詳細は自治体にお尋ねください)。

もしくは、高齢者や障がい者などの身体的に不自由がある方が住む建物はおおむね該当します。

 

特定建築物定期調査と報告は、建築士(1級、2級)もしくは特定建築物調査資格者が行います。

しかし、街の設計事務所に尋ねても、おそらくこのあたりの知識をお持ちの建築士さんは少ないですから、やってくれない、もしくは精度に不安がある上に高い、などということになります。

メンテナンスに強く賃貸物件を多く管理する管理会社に相談をするのがよいと思われます。

ビルメン協会などに加盟しているビルメンテナンス会社に相談するのもよいですが、小口の顧客は相手にしてくれないこともあります。

 

建築設備定期検査

特定行政庁が指定する一定の用途・規模以上の「検査対象建築物」に設けられた、安全・衛生・防災・避難上、重要な役割を持つ「建築設備」が適切に維持管理されているかを確認し、事故や災害などを未然に防止するために行う点検と報告業務です。

検査の対象となる設備は、「換気設備」「排煙設備」「非常用の照明装置」「給水設備及び排水設備」です。

居住用の賃貸マンションでは該当しない設備もありますが、特定建築物に該当する建物の場合は、設備も合わせて確認しておきましょう。

建築設備定期検査は毎年一回、建築士(1級、2級)もしくは建築設備検査資格者が行いますが、これもメンテナンスに強い管理会社に相談するのがいいと思います。

 

昇降機等定期検査

エレベーターが設置されている物件は必ずこの検査と報告を行わなくてはなりません。

エレベーターには、年に1回の定期検査(昇降機等定期検査)と毎月の保守点検があります。

年1回の定期検査がいわゆる法定点検と呼ばれるもので、毎月の点検がフルメン(FM)とかPOGとか呼ばれるメンテナンス契約です。

法定点検に通りさえすれば、毎月のメンテナンスはいらないのでは?とおっしゃる大家さんもいらっしゃいますが、エレベーターは2~3ヶ月に一回は、油を注したり、消耗品を取り替えたり、掃除をしたり調整をしたりしないと傷みが早くなり、法定点検に通らなくなります。

エレベーターの更新工事はどんなに安くても数百万~千数百万円のお金がかかりますから、毎月きちんとメンテナンスをして長く安定稼働させるようにしましょう。

昇降機等定期検査は、エレベーターのメーカー、もしくは専業のメンテナンス会社に委託します。

 

防火設備定期検査

2016年6月に新しく制度化された法定点検(建築基準法第12条3項)です。

今現在行っている、消防署に報告する消防設備点検(消防法第17条)などとは別物です(ややこしいですが…)。

▶ 参考:消防法(総務省)に準拠する法定点検 ~ 消防用設備等点検/防火管理制度

 

近年の火災事故で、感知器連動型の防火扉が作動せずに被害が大きくなったケースがありました。

この防火設備定期検査は、そのような連動型防火設備についての動作点検や報告義務です。

まだ経過措置期間中のためか、制度ができたことを知らない管理会社もあります。コンプライアンスに疎い会社は、防火設備検査資格者の配置も遅れているかもしれません。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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