賃貸住宅の巡回点検業務

月に1~2回程度 建物を巡回して、敷地内の状況や建物の外観、設備機器の異常がないかなどを点検します。

基本的にはチェックシートを用いながら目視による確認を行い、箇所や機器によっては触診・打診・動作確認・測定確認などを行います。

定期的に点検を行うことで異常や不具合を早く発見して、適切な処置を行うことで故障や事故を未然に防ぐことが目的です。

 

巡回点検の内容は要チェック

巡回点検は、チェックシートさえあれば大家さんが自分で行うことも可能です。

点検ポイントを把握して、建物の状態を常に知っておくことは基本でもあります。

しかし、建物の構造によっては屋上や歩いて行くことができないような場所もありますので、危ないようなら管理会社などに任せた方がいいでしょう。

ただし、どのような内容で行われるかは確認が必要です。

管理会社もしくはサービスメニューによって、チェック項目や巡回点検者のレベルには差があります。

日常清掃に行った清掃のおばちゃんが、掃除をしながらささっと目視して終わる巡回点検もありますし、設備や建築の知識を持ったエンジニアがひとつひとつチェックしていくこともあります。

管理項目の文言と金額だけで比較をしたら、つい安い方に任せてしまいたくなりますが、なぜその金額になっているのかは確認しなければいけません。

 

居室の天井からじわじわと水が漏れてきて床が水浸し、クロスやフロア材も張替えが必要、入居者の私財にも被害が及んで結構な額の損害が出てしまった、という事例があります。

原因追及のために屋上に上ってみたら、排水目皿に枯葉やビニールなどのゴミがぎっちり詰まっていて屋上一面プール状態。その上、防水膜が切れていたため漏水に発展したようでした。

巡回点検を任せていた管理会社は屋上の点検など一度もしたことがなかった、とのこと。

きちんと巡回点検をしておけば、目皿の清掃もできましたし、防水工事の必要性も認識できたはずです。

起こるべくして起きてしまった、しかも未然に防ぐことができた事故だと思います。物件の規模や構造に適した巡回点検を行う必要があります。

 

巡回点検の要注意ポイント

1.屋上

防水層に膨れ・亀裂・剥離などがないか、笠木が外れたりしないか、目皿の詰まりなどをチェック、砂やゴミなどの堆積物を除去します。

特に雑草は要注意です。

草の根は強力ですので、屋上の防水層を突き破って破断させてしまいます。

引っこ抜けばいいような気もしますが、防水層を貫通した後で安易に引き抜くとその空いた穴から水が侵食して漏水に繋がる危険性が高まります。

専門家に相談した方がいいでしょう。

 

2.廊下・階段などの共用部

目視で床・壁・天井に異常はないか、排水溝・ドレン・樋などの状態、鉄部などのサビや浮きなどをチェックします。

入居者の私物やゴミなどが放置されているとクレームに繋がりますので合わせてチェックします。

パイプシャフト内の私物も危ないですからやめさせた方がいいでしょう。

 

3.エントランス

エントランスは物件の顔ですが、入居者全員が通る場所ですから汚れがちです。

清掃状態のチェックはもちろんですが、掲示板、集合ポストや宅配ボックスの利用状態確認、オートロックや自動ドアの動作確認、照明のタイマー調整や間引き点灯調整、エレベーターかご内の確認などを行います。

 

4.外壁

目視で亀裂・浮き・剥離・サビ・汚れなどないかチェックします。

建物の劣化は、雨水などの浸食により内部から進んでいくことも多いです。

大したことはないと高をくくらず、気になる部分があるときは専門家に見てもらった方が安心です。

 

5.機械設備

共用灯の球切れや破損はないか、分電盤や自動通報機などの異常・破損・未施錠がないか外観確認、受水槽に異物混入・漏水・施錠状況など異常はないか、給水ポンプの異音・振動・発熱等異常はないか、浄化槽に異臭・ブロアーの異音はないかなどわかる範囲で確認します。

少しでも異常があれば、専門業者に見てもらいます。

 

6.駐車場・駐輪場

車止めや区画線・駐車ナンバーの破損や欠損がないか、放置自転車はないか、私物の放置はないか、清掃は行き届いているか、などをチェックします。

迷惑駐車が多い場合、駐車ナンバーが消えかけていてわかりにくかったり、自転車の盗難やいやがらせが頻発するときは、駐輪場の整理整頓ができていないなど、管理不行き届きもトラブルの一因になりえます。

 

7.ゴミ置き場

清掃状態、案内表示などを確認します。必要に応じて、ゴミコンテナや動物避けのネットをかけます。

管理状態のよくないマンションは、だいたいゴミ置き場が荒れています。

 

8.塀やフェンス、植栽

サビや腐食、ぐらつき、針金など突起物がないか確認します。

管理会社や募集店の看板も、長らく掲示され続けて痛みが激しいものがよく見られます。劣化していたら替える、必要なものだけにするなど、定期的に見直しを行いましょう。

 

9.側溝、排水マス

ゴミや枯葉、雑草などは除去します。

グレーチングやマスの蓋に破損がないか、排水状況に異常はないか、異臭はしないかなどを確認します。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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