賃貸クレームの種類

賃貸管理会社の仕事はクレーム対応、といわれるくらい、賃貸管理会社の社員は多くのクレーム対応をしています。

「クレーム」というと言葉が悪いかもしれませんが、入居者からの相談事や不備の報告、修繕依頼などの問い合わせ連絡一式を「クレーム」という言葉でまとめることが多いです。

 

管理会社に入居者対応を業務委託している場合は、管理会社が連絡先を公開して問い合わせ窓口を代行してくれます。

自主管理をしている大家さんは、基本的に入居者からのクレーム対応は自分で行う必要があります。

問い合わせ先を公開していないと、いざという時に入居者はどこに連絡をしたらいいのかがわからず困りますので、緊急時の連絡先は入居のしおりなどに添付してすぐにわかるようにしておきましょう。

連絡先がわからないと、入居者は賃貸借契約を仲介してくれた仲介店に問い合わせをするしかありませんが、入居契約に関係のないクレーム対応は仲介業務の範疇を超えていますから、仲介店としては自分の仕事ではないと思っています。

「自分の物件の管理もできないずさんな大家なんだな」と思われないとも限りません。

 

昨今では入居者の権利意識の高まりと共に、クレームも理不尽だったり無茶な要望だったりすることが増えてきました。

また、クレーム対応の良し悪しが入居者の満足度や入居期間に大きく影響してきます。

直接クレームを受けることに不安があるのであれば、やはり信頼のおける管理会社などに業務委託をしておくほうがよいでしょう。

 

1.新入居クレーム

賃貸経営をしていて一番受けたくないクレームが、この新入居クレームです。

難易度が高いとか、対応がしにくいとかの問題ではなく、ないに越したことはない予防できるクレームだからです。

空室期間が長びいてしばらく点検していなかったり、リフォーム工事自体に不備があると、新しい入居者が引越しをしてきた直後にクレームが入ります。

  • クロスや床の割れ・傷・汚れ
  • 床なりや建てつけ不良
  • 水漏れやつまり
  • 給湯器やエアコンの動作不良
  • 清掃の不備  …などなど。

引越しという大仕事を終え「さあ、新生活をはじめよう!」と思った矢先に発生するトラブルは、気分のいいものではありません。

長く快適に暮らしてもらうことが安定した賃貸経営の秘訣のはずが、入居初日からケチがついてしまうことになります。

しかしいくらしっかりと点検していても、実際に住んでみないとわからないトラブルもありますので、もし新入居クレームを受けたなら、迅速丁寧に、誠意をもって対応することが大事です。

 

2.入居者間、近隣住民間の生活マナークレーム

賃貸住宅は共同住宅ですから、いろんな人が住んでいます。

小さい子供がいる家庭、夜勤のお仕事の人、若い人もいればご年配の人もいますし、ペットを飼っているお宅もあります。人によって生活のサイクルや常識が違うため、ちょっとした生活習慣の違いが大きなクレームに発展することがあります。

よくあるマナートラブルは、

  • 隣がうるさいなどの騒音
  • 曜日や分別、放置などのゴミの出し方
  • ふんを持ち帰らないなどのペットマナー
  • たばこのポイ捨てなどの迷惑行為
  • 放置自転車、無断駐車
  • 共用部の私的利用
  • 近隣住民とのトラブル  …などです。

マナークレームは頭ごなしに注意すると逆にトラブルが炎上するなど、デリケートで解決が難しい面もありますが、放置すると連鎖的に入居者全体のマナーが悪くなっていく傾向があり、物件全体がだんだんと荒れていきます。

そうなると物件の価値は下がり、収益性は低くなる一方ですから、根気強く対応していく必要があります。

 

3.設備や建物、ハード面のクレーム

賃貸住宅の入居者からいただくクレームの中で一番多いものが、設備や建物の故障・トラブルなどのハード面のクレームです。

  • 蛇口から水がポタポタ漏れる
  • トイレが流れない
  • 排水口が詰まった
  • お湯が出ない
  • ガスがつかない
  • 電気がつかない
  • インターフォンが鳴らない
  • エアコンが動かない
  • カギをなくした
  • 共用灯が切れている
  • 汚物が放置されている
  • エレベーターが動かない
  • 警報機が鳴り続けている
  • 天井から水が漏れてきている
  • ガラスが割れた
  • タイルが剥落してきた
  • 空き巣に入られた
  • 火事だ  …などなど。

ほんの一部をあげてみただけでも、緊急性の高いトラブルが多いことがわかると思います。

しかも24時間365日、いつ起こるかわかりません。

ウチは9時始業からだからそれまで待って、というわけにはいきませんし、機械設備の故障などの専門的な知識が必要になるトラブル対応を、大家さんひとりで行うことはかなり困難です。

緊急連絡先がわからずに入居者が事態を放置したりすると被害が大きくなり、復旧に必要以上の時間やお金がかかることもあります。

入居者⇔大家さん⇔協力業者の間で、トラブルが起きたときに慌てずスムーズに解決するための連絡網を整えておく必要があります。

 

その他のクレーム

時には入居者からのクレームだけではなく、隣近所の住民や町内会などからクレームが入ることもあります。

  • 入居者のマナーが悪い(ゴミや駐車場、騒音)
  • 野良猫にエサをやるな
  • 町内会費を払え
  • 町の行事(清掃など)に参加しろ

などが多いです。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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