住宅設備のリフォーム
内装仕上げのリフォームは主に見た目の印象や導線を変えるためのリフォームですが、住宅設備のリフォームは主に機能面の拡張をするためのリフォームです。
▶ 参考:内装仕上げのリフォーム
分譲住宅ほどではないですが、時代と共に賃貸住宅に求められる機能も高まり続けています。
10年もすればトレンドは移り変わってしまい、新たな投資をしなければ競争力は保てなくなってきます。
しかし仲介店や管理会社のアドバイス通りにあれもこれもと導入していては、投資に対する収益が追い付かないことになりかねません。市場調査やターゲット設定をキチンと行い、絶対に必要な機能・欲しいけど先送りにする機能・必要のない機能と、優先順位をつけていかなくてはなりません。
住宅設備には、
- 生活に直結する水回りの設備
- 快適性や利便性を高めるための設備
- 安全性を高めるための設備
などがあります。入居者ニーズが高いものに特に注力していきましょう。
以下、本文内に掲載している写真は、おおむね賃貸住宅の施工事例です。住宅のリノベーションやデザインのためのプラットフォームサイト【 Houzz (ハウズ) 】 から引用させていただいています。 サイト自体は賃貸リフォーム専用というわけではありませんが、インテリアデザインの参考によく見させていただいています。見ていると、ものすごくリノベーションがしたくなります(個人的感想)。 |
1.日々の生活に直結する水回りの設備
最もニーズが高く、効果が出やすいものが水回りの設備です。
掃除もしやすく使い勝手のいいシステムキッチンはやはり人気があります。
単身物件用のミニキッチンも最近はバリエーションが豊富です。古い電熱コンロは人気がないだけではなく、火災事故も頻発しています。コンロ部分だけの取り替えも可能ですから、できるだけ変えた方がいいでしょう。
洗髪洗面化粧台や洗浄機能付き便座は賃貸住宅でも定番化してきました。
洗面台は、一体型のシャンプードレッサーでは差別化しにくくなってきています。使い勝手や掃除のしやすさなどでは劣りますが、セパレート型の洗面台や洗面ボウルが採用されることも増えてきました。
浴室のリフォームは一番費用的には高くつきます。
ユニット交換ともなれば百万円単位でかかりますから、そう簡単にはできません。しかし浴室は直接肌が触れる環境なので、クリーニングで落ちないような汚れがあると入居付けはかなり不利になります。
そこで検討されるのがFRP塗装です。
交換の半分~1/5程度の費用で新品のようにキレイになりますが、業者選びが重要です。浴室の塗装は難しく、下手な業者に任せると2~3年で塗装が浮いたりはがれたりしてクレームになります。
機能面では、追い焚きや浴室乾燥機が人気設備です。
2.暮らしやすさ、快適性や利便性を高めるための設備
絶対にないと暮らせないというものではないけれど、あると便利、ないと不便もしくは自分で用意しなくてはいけない、という設備があります。
例えば、TVモニター付きインターホン。
ピンポンと音が鳴るだけだった呼び鈴から、玄関先と会話ができるインターホンになり、今はTVモニター付きで来訪者を確認しながら応答できるように進化しています。TVモニター付きインターホンは安価で取り替えも簡単なので、自分で交換してしまう大家さんもいらっしゃいます(電気工事士の資格がいる場合もあります)。
また、必須と言えるほど需要が強いのはエアコンです。
昨今の住宅、特にRCの建物は気密性が高い反面、通気性が悪くなっているため、エアコンがないと室内環境の調整が難しくなっています。
ここ数年急速にニーズが高まっているのが、無料インターネットと宅配ボックスのサービスです。
無料インターネットとは、入居者が個別に回線の手続きや費用負担をしなくても、大家さん側で契約してあるネット環境を入居した当日から利用できるものです。
賃貸住宅の主な入居者層である若年層では、スマホやタブレットなどの普及が進みWifi環境は必須になってきていますから、学生マンションなどではかなり人気のある設備です。
しかし、自宅でパソコンを行って仕事などをすることが多い社会人などがメインの物件の場合、回線速度の安定性を求めて個別回線を望むことも多いです。
逆に宅配ボックスは、通販をよく利用する忙しい社会人のニーズがとても高い設備です。
自分の物件のユーザーニーズにマッチした設備の選択が重要です。
3.安心・安全性を高めるためのセキュリティ設備
セキュリティに関するニーズも高まり続けています。
エントランスのオートロックは大がかりな配線工事が必要で、後付がむずかしい設備No.1ですが依然人気は高いです。
最近では、スマホとWifi環境を利用した配線工事不要のオートロックシステムもあるようですが、入居者のモバイル環境に依存しなければならないため、不安定さは残ります。
レンタルやリースなども利用でき、後付けでも導入しやすいのは防犯カメラです。外部からの防犯のためだけでなく、入居者のマナートラブルの抑制にも効果があります。
あと見直しが容易なのは、玄関のカギです。
昔ながらのギザギザのディスクシリンダー錠はセキュリティ性能が圧倒的に低いですから、できるだけ早くディンプルキーなどに交換しましょう。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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