部屋の引き渡しの際の注意事項

契約が無事終了して必要書類や金銭の授受も完了したら、あとは部屋の引き渡しをするのみです。

引越ししてくる入居者は、引越業者との打ち合わせ、荷造りやライフラインなどの手続きや段取りでとても忙しいです。

うっかりガスの開栓を忘れていて汗だくなのにシャワーが浴びられない…、県外への転居でゴミ出しのルールがわからない…など、入居当初はいろいろなことで不便を感じます。

契約後はカギ渡しさえ行えば大家さんとしての仕事は終わりですが、入居直後にできるだけ不便や不安などのストレスをかけないようにすることが、その後、快適に暮らしていただくためのひとつの手段にもなります。

以下のようなものを事前に準備(お知らせ)しておくとよいでしょう。

 

引き渡し前の事前準備

  • 必要になる各種手続き先の情報一覧表 … 電気やガス、水道などのライフラインの開栓のために必要な連絡先や、区役所や郵便局の場所なども引越し時に知りたい情報です。ここ数年来、優先順位が高いのはネット回線の手続き先です。物件にどこの通信会社の回線が引いてあるか、無料インターネットが設置されている場合はその手続き方法など、すぐにわかるようにしておきましょう。
  • ゴミの出し方 … 行政が配布しているゴミの回収表や出す場所がわかるものなどです。特に引越し直後は引越しゴミが多く出ますので、その処分方法についてもわかりやすくしておくといいでしょう。
  • 取扱説明書 … 共用部や室内の設備の使い方がわかる取扱説明書も必要です。特に、ポストダイヤルの番号や電気温水器の使用方法などは問い合わせが多くなりがちです。
  • 緊急時の連絡先一覧 … 緊急時や管理上のトラブルが起こった際の連絡先です。賃貸住宅では、水が漏れている、電気がつかない、カギをなくしたなどの緊急事態や、エアコンがつかない、お湯が出ないなどの設備トラブル、隣がうるさい、ゴミが散乱しているなどのマナークレームなど、日々さまざまなトラブルが起こります。
  • 入居のしおり … 共同住宅で生活するためのルールや入居期間中の注意事項などをまとめた冊子です。
  • 入居チェックリスト … 入居時に室内のキズや汚れ、設備の不具合などを入居者がチェックするための書類です。あれもこれも悪い!と難癖をつけられる原因になるからイヤだという大家さんもおられますが、入居時にあらかじめ確認をしておけば、退去時に発生するかもしれない紛争を未然に防ぐ効果は大きいと思います。
  • ウェルカムボックス … ちょっとした清掃道具やバスグッズ、食料など、引越し当日にあると助かる生活雑貨などの詰め合わせです。ここまで準備している大家さんは多くはないかもしれませんが、新しい環境で緊張状態の入居者に喜ばれる心遣いです。

 

これらのツールは管理会社が準備してくれることもありますが、管理の契約内容によっては含まれていない、もしくはこのようなサポートは行っていない会社もありますので確認が必要です。

 

リフォームと清掃の完了確認を必ず行う

契約開始日が確定した以上、その日にカギ(部屋)の引渡しを行うことは必須事項です。

なにかトラブルがあって当日引き渡せなくなっても、謝れば大丈夫、なんてことはありません。

入居者は従前の住居を引き払って、荷物を全部持ってきていますから、部屋に入れないとなるとその晩 寝る場所もないという事態になりかねません。ホテルの手配や荷物の保管、入居者へかかる精神的・身体的苦痛なども加味すると、莫大な費用がかかる上に入居はキャンセルということも十分あり得ます。

特に春や秋の引越しシーズンは、退去から次入居までのサイクルが短く、リフォーム工事や清掃作業は、かなりかなりかなり立て込みます。

入居日が決まっているのに工事が間に合わない、終わってない、不備・不足がある、などにならないように、監理監督しておく必要があります。清掃・カギ交換・完了検査まで行ってはじめて、リフォーム完了です。

 

カギ(部屋)の引渡し

契約開始日当日にカギ(部屋)の引渡しを行います。

多くの場合、仲介をした不動産屋の店舗に入居者がカギを取りに行くことで引き渡しが完了します。

契約開始日以前に引き渡しを行う仲介店もあるようですが、大家さんの立場としてはやめさせなければいけません。

なぜなら、まだ家賃も発生していませんし、火災保険の責任開始日と賃貸借契約の契約開始日は同日のはずですから、もしなにか事故が起こっても担保するものがないからです。

カギの引渡時には、必ずカギの受領書に入居者の押印(サイン)をいただきますから、変な日に引き渡しをしていないか、日付はキチンと確認しましょう。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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