クレーム対応の鉄則
賃貸経営をしていると、それは苦情ではなくてただのいちゃもんじゃないのか…?と思うようなクレームも多々あります。
例えば、
- 向かいのパチンコ屋の電飾がまぶしくて眠れない
- 上階の入居者の騒音がひどいので家賃を払わない
- 隣の家の犬がうるさいからなんとかしろ
- 隣の空室の入居者は女性限定で募集しろ
- 明日家を出る前までにエントランスの雪かきをしておけ
など、それを大家(または管理会社)にどうしろと…、と思うようなクレームは枚挙にいとまがありません。
現役の管理会社社員に聞いてみたらもっとすごい事例が出てくると思います。
管理会社にクレーム対応を委託している場合に気をつけておかなければいけないポイントもここにあります。
考えれば容易にわかると思いますが、日々そのようなクレームを受け続けていると対応する側の心も荒みます。ついつい対応がぞんざいになったり、適当にあしらってしまうことがないとは言いきれません。
その結果、適切に対処しなければいけないはずの正当なクレームへの対応がキチンとできなかったり、問題が大きくなってしまったり、トラブルを隠匿したりする担当者がでてきます。
任せてあるから大丈夫だろう、とのんきに構えている間に、管理会社の対応への不満が募って入居者が続々退去してしまった、なんていう事態になっていたら笑えません。
報告書だけでわかったつもりにならず、担当者には定期的に会って話を聞くこと、そして大家としてクレームに向き合って協力する姿勢を示すことが大切です。
クレーム対応の鉄則① 初期対応
クレーム対応の第一歩は、適切な初期対応です。
すぐに対処できることは速やかに、時間がかかることは予定をしっかり伝え、根本的な解決が難しい場合も放置したりのらりくらりとかわさず真摯に説明することです。
クレームが大きくなってしまう原因のひとつに、報告・連絡・相談などがしっかりなされない、コミュニケーションエラーがあります。
いつ、どこで、誰が、なにを、どうする、なんで、いくらで、いわゆる5W2Hでコミュニケーションを取っておく必要があります。
あとは、職人さんなど技術職の方を直接入居者宅に訪問させるときも注意が必要です。直接クレームの内容を聞いていないと、サービスマンとしての適切な言葉遣いやマナーができないことがあります。
クレーム対応の鉄則② 迅速解決
マナークレームは解決したくてもすぐにできないことも多々ありますが、新入居のクレームやハード面のクレームはできるだけ早く解決をした方がいいクレームです。
▶ 参考:賃貸クレームの種類
応急処置でも即時に回復できるものは早急に復旧させて、不自由な暮らしを強いないようにする必要があります。
しかし、給湯器やエアコンの故障など、代わりの機器を手配してからでないと復旧できない時間のかかるトラブルの場合は、「使用できなかった期間の家賃を減額してくれ」「損害を賠償してくれ」などの2次クレームに繋がらないような対応をしなければなりません。
対応を管理会社が行っている場合、管理会社はあくまでも入居者と大家さんの間に立って調整する立場ですから、「即やります、何日までにやります」といった即断ができることが少なく、返答があいまいになりがちで、そこが火種になることがあります。
ある程度の予算の範囲内なら管理会社の判断で必要な処置をしてもいいよ、などの取り決めをあらかじめしておくと対応がスムーズになります。
クレーム対応の鉄則③ 発生予防
トラブルが起きた後の対応ももちろん重要なのですが、そもそもクレームを発生させない予防対策も必要な施策です。
起きてから困るより、起こらないように予防する方が気分的にも楽です。
予防にもお金がかかりますので、1から10まで念入りに行うことは現実的ではないですが、耐用年数が切れて故障が頻発している設備があるなら事前に交換しておくとか、取り寄せに時間がかかることがわかっている機器があるならいくつかストックしておくとかの事前対応はできると思います。
入居者に対する告知や周知なども、あらかじめ予防線を張ることができて効果的です。
例えば、入居のしおりなどを上手に使ってあらかじめ共同生活のルールをしっかりと周知しておくこと、掲示物や案内文を配布して必要な情報を伝えておくこと、事故対応マニュアルや緊急連絡ダイヤルを準備していざという時に慌てないようにしておくこと、などです。
そして最後に、管理のおろそかな物件は風紀が乱れがちでクレームも増えます。
清掃が不十分でゴミが散乱している、放置自転車が多い、無断駐車も多い、共用部の電球が切れている、蜘蛛の巣が張りっぱなし、いつも電話がつながらない…。
管理体制を見直すこともクレーム予防のひとつです。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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