管理会社を変更する
賃貸経営をやっていく上で長いお付き合いが続くのが管理会社ですが、最近どうも動きが悪い、レスポンスが遅い、クレームが増えた、作業の手がイマイチ、などの不満がでてくると、管理会社のリプレイス(変更)を考えることがあると思います。
管理会社の仕事次第で入居率や管理状態は大きく変わりますから、変更が必要だと判断したら速やかに変更の段取りをしましょう。
管理会社を替えることで解消できる課題なのかどうか
管理会社の変更自体はそれほど難しいものではありませんが、少なくとも変更を検討し始めてから完全に引き継ぎが終わるまで、3ヶ月~半年くらいの時間がかかるものです。
大家さん自身にもそれなりに手間がかかりますが、入居者にも変更に伴う手続きに協力をしてもらわなくてはいけませんので、気に入らないからと言ってコロコロ変えればいいというものでもありません。
例えば、現担当者の仕事ぶりや相性に不満があるのであれば、まずはその上司に打診して、担当者の変更を依頼しましょう。
不動産業界はまだまだ業務の標準化が進んでいません。担当者の個人的な能力に依存しがちですから、担当者変更によって仕事が変わることはままあります。
また、清掃が不十分だったり点検がいい加減など、作業の手がよくないときは、まずは管理会社に、作業する業者の監督をしっかりと行うか、業者を変えるように言いましょう。
多くの場合、清掃や設備点検などの作業は管理会社から専門業者(例えばA社)に外注しています。作業品質が気に入らなくて変更した管理会社の外注先も同じ専門業者(A社)だったら、変更した意味がないことになります。
しかし、外注先の専門業者にも優先順位があります。
元請けの管理会社が大口の取引先だったり、不備事項の指摘や改善指示をしっかりしてくる会社であれば、優先的・重点的に仕事をすることはありえます。丸投げでなんにも言わない管理会社の仕事は疎かになりがちですから、管理会社の監督能力はチェックポイントのひとつです。
リプレイスの理由が管理会社の仕事ぶりではなく、社員がごっそり辞めて家賃の送金が遅れがち、などの場合は悠長に構えている暇はないかもしれません。早急に次の管理会社を探しましょう。
管理会社を探す
管理会社の変更を決意したら次の会社を探すことになりますが、これがなかなか骨の折れる作業になります。
管理会社を変更するということは、変更するに至ったなにかしらかの課題を解決するために行いますから、次に選ぶ会社はその課題を解決できる会社でなければいけません。
管理会社にも、それぞれ得手不得手がありますから、単純に管理委託費用だけで選ぶと、課題が解決できないままということにもなりかねません。
▶ 参考:管理会社の選び方
自分の物件の規模、優先的・重点的に任せたい管理内容に即した管理会社を選ぶことになります。
自社付けが強い会社もあれば、地域の不動産屋とのコネクションが強い会社もありますし、メンテナンスに強みがあったり、入居者対応に力を入れている会社もあります。企画力や提案力を求めることもあると思います。資本力のある大きな会社にするか、小回りの利く地場の会社にするか、も検討事項です。
これらは、提案書に書いてあることや見積り金額、そして提案に来るスーツ姿の営業マンの話だけではなかなか図りきれません。
なぜなら、営業マンは聞かれたことには必ず「できます」と答えるからです。
できるだけ複数の会社から話を聞いて、可能であれば、会社に出向いて雰囲気を確かめ、実際に現場で働いているフロント担当者やメンテナンス担当者に話を聞いてみるのもいいでしょう。
近くに実際に管理を任せている大家さん仲間がいるのなら、アドバイスや紹介をもらうのも良いです。しかし、盲信は禁物です。
いかに信頼できる大家仲間だとしても、管理会社に望むものが異なれば選び方は変わりますから、自分の視点で選ぶことが大事です。
複数社にコンタクトをとる
会社のホームページやパンフレット、営業用の資料だけをみて、その会社が自分の物件に合った管理会社であるかどうかを見極めるのはなかなか難しいです。
何棟も所有物件があって、管理会社の変更を何度か経験したことのあるベテラン大家さんであれば、「この会社は客付中心の仲介系」「あの会社は設備に強いメンテ系」などの判断はできると思います。
さらにいうと、その地域の業界の人間に聞けば、「この会社は、客付け強いけどクレーム対応は雑だよ」とか「あの会社は、仕事は早いけど賃貸相場はわからないよ」などのコアな情報がわかります。
しかし、初めての管理会社変更や気軽に聞けるアドバイザーがいない場合は、複数の会社にコンタクトをとって、実際に見たり、聞いたり、話したり、訪ねたりということをしながら、任せるに足る管理会社かどうかを見極めることになります。
「オーナー様のおっしゃるとおり!」と御用聞きのように崇め奉る会社もあるでしょうし、「昔はそうでしたけど今はこうです」とトレンドに即したアドバイスをくれる会社もあるでしょう。
長い付き合いにおいては相性も大事な要素ですから、いろいろな会社に接触しておいても損はありません。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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