管理会社の選び方
賃貸経営をしていく上で、いちばん影響力が強く、長いお付き合いが続くのが管理会社です。
管理会社の特徴と選び方についてまとめてみます。
管理会社とは
など、賃貸住宅の運営に係る業務のほとんどを任せることができるのが管理会社です。
▶ 参考:賃貸管理委託の基本
入居する前から退去した後まで、切れ目なくサービスが提供されます。すべての業務を一括で委託することもできますし、一部分だけを頼むこともできます。
管理物件の入居募集は管理会社の大事な仕事のひとつですから、管理業だけではなく、賃貸仲介業も合わせて行っていることが多いです。
不動産屋と宅建業者と管理会社と仲介店の区別がよくわからない大家さんも多いようですが、一般的に言うと、不動産屋≒宅建業者、管理会社と仲介店は不動産屋の範疇ですが、管理をメインの業務としていれば「管理会社」、仲介がメインなら「仲介店」と区別されることが多いです。
厳密にいうと、管理会社は仲介業務を行わなければ、宅建業者である必要はありません。仲介店は、宅地建物取引業に規定された仲介業務を行いますから、必ず宅建業の免許をもった宅建業者です。
しかし、賃貸住宅管理は賃貸仲介と密接に関係していますから、多くの管理会社は宅建業の免許をもっています。
会社や店舗の場所によってどちらがメインかおおよそわかります。
管理部門は、本部や支部などオフィスを拠点にしていることが多いですが、仲介部門は駅前店舗など、お客様(入居検討者)が来店しやすいわかりやすい場所に立地していることが多いです。
駅前に派手な看板の店舗を構えているのは仲介店です。
管理会社の得手・不得手
管理会社には、入居募集が得意な「仲介系の管理会社」と、設備や建物のメンテナンスが得意な「メンテ系の管理会社」があります。
もう少し細かく分類すると、不動産コンサルタントや資産コンサルタント、売買仲介業者などに紐づいた管理会社もありますが、「管理業」としての実務能力は低いですから、ほとんどすべての管理業務を、上記2種の管理会社に再委託しています。
仲介系の管理会社は大体、自社の仲介店舗を持っていて自社管理物件を優先的に客付けします。
管理物件の入居率が管理物件獲得の大きな武器ですから、入居募集には力を入れてくれます。
反面、建物の維持管理には疎い面もあり、清掃に関するクレームが多い、工事の内容を担当者が正確に把握していないなど、メンテナンス業務を再委託先に丸投げしているケースもあります。
メンテ系の管理会社は、建物や設備の点検・修繕、緊急時の対応、リフォーム工事などに強みがあることが多いです。
突発的な事故への即応性や事故を未然に防ぐための予防保全に強みがあります。
自社で仲介店舗を持たずにエリア内の仲介店に客付を依頼する管理専業の会社もあり、担当者がこまめに仲介店に情報提供や営業活動をしているかによって入居率は変わります。
管理会社の収益構造
管理会社の主な売上は管理委託費です。
家賃収入の3~5%をベースに入居者管理業務を行っていることが多いです。
会社によってはその中に、月に1~2回の日常清掃、巡回点検など、どの物件でも必要になる基本的な作業項目を含むこともあります。
そして、物件の付随設備などによって個別に必要になる、法定点検や定期メンテナンスなどの費用が別途積算されます。
その他には、退去ごとに発生する退去立会の費用やリフォーム工事代、賃貸借契約時の仲介手数料や広告費(AD)、更新時の更新事務手数料、場合によっては大規模修繕工事などが管理会社の売上です。
管理会社を選ぶときの注意点
一昔前から巷ではよく「分譲マンションは管理を買え」と言われています。
分譲マンションは長期的に見ると管理状態で資産価値が大きく変わるので、マンションを買う時は、管理の質が高いマンションを買いなさいよ。という意味です。
これは、賃貸住宅の管理でも同様のことが言えます。
同じ築30年のマンションでも、管理状態の良し悪し、大家さんの手入れひとつで、物件の劣化が全く変わります。
信頼できる人からの紹介などでない限り、管理会社を選ぶときには、複数の会社から相見積りを取るのが鉄則です。
2階建ての木造アパートなど、小規模な物件では見積り金額の差はつきにくいですが、RC造である程度の機械設備が入っている物件では、同じ物件の見積書のはずなのに管理項目が大きく違うことがあります。
オールインワンパックで一式いくら、と提示する会社もあれば、ひとつひとつの設備や作業項目を拾い出してこれはいくら、これはいくら、と積算形式で出す会社もあります。
一概には言えませんが、前者は仲介系、後者はメンテ系に多く、前者の方が安価になりやすい傾向があります。
丸ごとやってくれるんだから安心だよね、と過信しすぎるのも良くないですが、細かくリスクヘッジしすぎて過剰投資になっても儲かりません。
見積りの書面や営業トークだけでは、正直、判断は難しいですが、ある程度の規模の物件の管理は、メンテナンスや緊急時の初期対応などをすべて外注対応している会社に任せるのは不安です。
管理会社の中に、どのような専門部署があるか、仲介専門部門・メンテナンス部門・リフォーム部門・清掃部門などの確認と、所属人員数、有資格者の数などはチェックポイントのひとつかもしれません。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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