家賃保証会社を利用するときの注意点

大家さんにとってはとてもメリットが大きい家賃保証会社の利用ですが、盲目的に信用しすぎるのもよくありません。

保証会社を利用する際に知っておいた方がいいこと、注意すべき点をまとめます。

 

1.入居者にかかる保証料の負担

保証会社を利用する際の保証料は入居者が負担します。

入居者が用意しなければならない連帯保証人の代わりを第三者である保証会社がお金をもらって引き受ける、という体だからです。

しかし、充分に資力のある連帯保証人がいる人にとっては、なぜお金を払って必要のない保証会社を利用しなければならないのか?という疑問がでます。

多くの場合、大家さん側の手間の削減やリスクヘッジのためなのですが、その理由では納得はしてもらえないでしょう。

そこで、敷金や礼金を減らしたり、フリーレントなどをつけるなどして、入居者が契約時に支払う初期費用の総額が保証会社を利用しない場合と同等以下になるように調整するケースもあります。

 

2.代位弁済請求は確実に

保証会社は「代位弁済」もしくは「収納代行」で滞納家賃の弁済をしてくれます。

▶ 参考:家賃保証会社がやってくれること

 

代位弁済型は、滞納を確認してからのあとから請求ですが、この代位弁済請求を、提携している事業者からでないと受け付けしてくれない保証会社があります。

契約手続きを代行した管理会社もしくは仲介店からしか受付しない、ということです。

管理会社に家賃の入金管理も任せていれば、管理会社はすぐ滞納に気づきますが、大家さんの口座に入金されている場合は、大家さん → 管理会社 → 保証会社と、弁済請求が伝言ゲームになります。

加えて、代位弁済請求には免責期間があり、短いところだと10日以内に代位弁済請求をしなければ保証しませんという保証会社もあります。

通帳の確認にもたつき、管理会社の担当者が休暇中で、代位弁済請求が免責期間を超えてしまった、なんてことになってはなんのための保証会社かわかりません。

 

3.保証会社自体の与信をチェック

「人の連帯保証人を進んで引き受けるほどの会社なんだから財務体制は万全なのだろう」と信じていたら、あっという間に傾いて倒産していた、なんていう笑えない話は、家賃保証業界ではよくあります。

まだ歴史が浅く法整備が間に合っていないため、事業を運営するに当たっての省庁への届け出や、自治体の許認可を得たりするような、一定水準以上を保つような規制がありません

貸金業法が強化されて廃業したサラ金あがりの会社もたくさんあります。

審査が異常に甘かったり、財務体質がぜい弱であったりすると倒産のリスクも高くなります。

それでも代位弁済であれば被害は少ないです。もし収納代行で契約をしていたら、入居者から集めた家賃を抱えたまま倒産することになりますので被害は甚大です。

 

4.自力救済をされてしまうリスク

ある程度の規模になってくると周囲の目も厳しくなってきて、法に抵触するような取り立てを行うことはまずありませんが、コンプライアンスに疎い保証会社は、今でもかなり派手な自力救済をしていることがあります。

まず悪いのは滞納をしている入居者なのは間違いがないのですが、あまりひどい取り立てをして訴えを起こされると確実に負けます。

大家さんも関係者としてとばっちりを受けないとも限りませんので、どんな会社なのかは調べておいた方がいいでしょう。

 

5.保証会社は基本的には選べない

例えば、リクルートの家賃補償は審査が厳しめなことで有名です。ある程度の属性と信頼性の高い入居者に入ってほしいと思っている、とある大家さんは、保証会社をリクルートに指定しています。

大家さんの要望として、あらかじめ管理会社や仲介店にそのように言っておけば、その会社を使うようにすることはできます。

しかし、ほとんどの契約は管理会社か仲介店が選んだ保証会社を使っていると思います。

指定する大家さんが稀だからというのもひとつの理由ですが、ほとんどの場合、保証会社から管理会社や仲介店にバックマージンが支払われているからです。

審査の問題さえなければ、マージンの比率が高い保証会社に偏りがちになるのは自明です。

それでも、保証の内容と滞納家賃の弁済、督促に問題がなければ、大家さん側には不利益はありませんので、こだわりがないのであれば目くじらを立てることもないのかもしれません。

代位弁済請求や免責期間、入金サイクルの確認などの事務手間や審査の甘さ・辛さなどの情報を管理会社や仲介店はよく知っていますので、怪しいウワサのある保証会社でなければ、基本的にはお任せしておいていいと思います。

 

6.保証契約の更新切れに注意

多くの保証契約は、賃貸借契約時に同時に行われ、その後は1年毎に更新費用を払って更新する契約になっています。

更新手続きは保証会社が行いますが、なぜかその更新ができておらず、保証が適用されないことが稀にあります。

知らない間に切れていて弁済されないような事態を回避したければ、更新情報はこまめに確認をしておきましょう。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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