管理委託のポイント 1.入居募集業務
入居者に対する物件紹介から契約締結までの一連の業務は、厳密にいうと管理業務ではなく賃貸仲介業務ですから、管理会社の仕事というよりは仲介店の仕事です。
しかし、入居者の募集は大家さんにとって最重要課題でもありますから、多くの管理会社は管理業務の一環として入居募集(仲介業務)も行います。
賃貸条件の提案
募集する物件の家賃査定や募集のための提案を行います。
仲介店舗を持っているなど、集客力のある会社とない会社で査定金額に差が出ることがあります。入居募集に自信のない業者は査定が低めに出がちです。
管理会社は管理物件の入居率がひとつの評価基準になりますので、高い入居率目標を立てています。
相場より家賃設定を下げれば入居率は上がりますから、入居率を高めることばかりに力点を置く管理会社だと、家賃を下げるバイアスがかかりやすくなります。
家賃を下げてでも早く決めたほうがいいのか、少し手を入れて維持、もしくは値上げできるような戦略で行くのか、大家さんの賃貸経営に有益な提案や報連相をこまめに行ってくれる業者を選ぶようにしましょう。
物件の紹介
間取り図面を作成し、空室の状況を確認し写真や動画撮影、物件概要資料を作成して、広報活動を行います。
広報活動には、一般の入居者向けの広告(SUUMOやHOME’Sなどの不動産情報サイトへの物件広告)と、仲介業者向けの広報(レインズやATBBなどの業者間流通システムへの登録)があります。
客付に強い管理会社1社に専任募集で任せて高い入居率が保てればベストですが、それが難しい場合、元付として情報の発信や更新をリアルタイムに多数の客付仲介業者に行ってくれる管理会社を探す必要があります。
レインズやATBBは賃貸物件の流通よりもどちらかというと売買流通に強みがありますが、最近では、利便性の高い賃貸物件専用の業者間流通サービスが増えてきました。
一週間に一度、FAXで空室情報を流す管理会社もあれば、リアルタイムで更新情報を拡散できる業者間流通システムなどを活用している管理会社もあります。
管理会社が、どのような方法で募集活動や広報活動を行っているかは確認しなければならない事項のひとつです。
入居審査
入居希望者に対して、家賃の支払い能力や人柄に問題がないかの審査を行います。
大家さんは多くの場合、入居者に会わずに賃貸借契約を締結しますので、仲介を行う管理会社の審査がウエイトとしては大きくなります。
最近では家賃保証会社を利用するケースも増えてきています。
▶ 参考:家賃保証会社がやってくれること
「ちょっと気になるところもあったけど…保証会社が通したから、まあいいか。」と安易に審査OKを出す業者がいる可能性もゼロとは言えません。
特に早く決めたいとき=仲介売上ノルマ達成が厳しいときなどに審査は甘くなりがちです。入居者の傾向が気になるときには、審査状況のヒアリングも必要かもしれません。
▶ 参考:入居審査のポイント
重要事項説明
賃貸借契約を結ぶ前に重要事項説明書を交付して、宅地建物取引士が入居者に重要事項を説明します。
宅建業者であれば、重説は必須業務なのでやって当たり前(宅建士が説明しないなどは言語道断です)なのですが、宅建業法上説明しなければいけない項目と、物件ごとに必要な個別の重要事項は異なります。
特約事項などにモレがないか、よく確認しておきましょう。
▶ 参考:重要事項説明とは
賃貸借契約の締結
賃貸借契約書を作成し、契約当事者(賃貸人・賃借人・連帯保証人)の記名押印の仲立ちをし、契約を締結させます。あわせて、契約に必要な費用を入居者から徴収し、大家さんに振り込みます。
当たり前のことですが、印鑑がない、必要書類が足りない、契約金が振り込まれない、などの不備があれば賃貸借契約は成立しないことがあります。
なにかトラブルが起きたときは契約書がすべての拠り所です。いい加減な対応をしていないかは重要なチェックポイントです。
▶ 参考:賃貸借契約時にやり取りされる書類と費用
カギ(部屋)の引き渡し
契約開始日に入居者にカギを渡す業務です。
多くの場合、管理会社もしくは仲介店の店頭で引き渡されます。賃貸借契約に不備がある、もしくは契約開始日前にカギの引き渡しを行うような業者は管理会社としては問題があります。
- 契約未成立のまま滞納が発生したらどうなるでしょう?
- 契約開始日前に事故が起こって損害が生じたらどうなるでしょう?
特別な事情を考慮してイレギュラーな判断や対応をすることはありえますが、恒常化して当たり前のように行われるようではいけません。
▶ 参考:部屋の引き渡しの際の注意事項
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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