工事業者の選び方
建物や設備の保守点検や修繕、リフォームなどをするときに必ずお世話になるのが工事業者です。
工事業者の特徴と選び方についてまとめてみます。
どのような工事業者があるか
賃貸経営を行う上では、さまざまな工事業者さんや職人さんにお世話になります。
メンテナンスや工事を管理会社にお任せしている大家さんは、どれだけの人がご自分の物件に関わっているかをご存じないことも多いのですが、賃貸経営で必要になる点検や工事などの業務をすべて自社対応で行っている管理会社は、まずありません。
多くの管理会社は、監督業務を行い、実際の作業は工事店や職人さん、または専門の業者に分離発注しています。
工事業者のカテゴリーを大きく分けると、
- 内装工事の会社
- 外装工事の会社
- 清掃の会社
の3つでしょうか。そこからさらに細分化します。
内装の場合だと、
- クロスや床などの内装仕上げ屋さん
- 水道工事屋さん
- 水回り設備の施工店さん
- 給湯器やキッチンなどのガス工事屋さん
- 照明やエアコンなどの電機工事屋さん
- 造作などの大工さん
- 補修・修繕を行うリペア屋さん
- 塗装屋さん
- ガラスや網戸などのサッシ屋さん、などです。
外装では、
- タイル
- 塗装
- 防水
- 資材メーカー
など躯体に関わる業者さん、そして、
- ポンプ
- エレベーター
- 自動ドア
- 防災・防犯設備
などのメーカー、メンテナンス会社など機械設備に関わる業者もいます。
そして、清掃。
- 日常清掃
- 定期清掃
はもちろんですが、法定点検項目でもある、
- 貯水槽清掃
- 浄化槽清掃
を行う専門業者さんにもお世話になりますし、
- 排水管清掃業者
- 植栽屋
なども忘れてはいけません。
あってほしくはないですが、不幸にも室内でお亡くなりになられた方がいた場合は、
- 特殊清掃業者
- 遺品整理業者
にお仕事をお願いすることもあります。
工事業者の得手・不得手
現場で働く職人さんには、クロスならクロスのみ、電機器具なら電器のみ、など一点集中で仕事を行う専門職と、クロスや床貼りがメインだけど、簡単な大工仕事や電気工事くらいならやるよ、といった多能工の方がおられます。
前者の場合は、それぞれの専門職が工事工程に沿って入れ代わり立ち代わり作業をすることになりますので、工事監理が大変です。手(作業する人間)が変わりますから、収めがむずかしいこともあります。
後者の場合は、ひとりで複数の工程をこなしますので早く均一な仕上がりになりますが、単価が高いこともあります。
工事業者には、実需向けの住宅をメインに請け負う業者、賃貸住宅がメイン、店舗やオフィスなど商業系が得意な会社などの特色があります。
選定を間違えると、かかる費用がとても割高になります。
また、多くの職人さんは、大家さんから直接仕事を請けていないことが多く、物件の状況も正確に把握しているわけではありません。入居者対応は不得手なことも多くありますから、問い合わせや苦情があった際のフォロー体制はしっかりと整えておく必要があります。
工事業者の収益構造
工事業者の売上は、人工+材料費+管理費です。
賃貸経営は収益事業ですから、自宅のように趣味で多くの予算は割けません。
当然、実需向きの工事店に比べると賃貸住宅の工事がメインの工事業者は単価が下がりますので、ゆっくりじっくり何度も大家さん宅に訪問して打合せを重ねる、なんていう余裕はないことが多いです。
毎月、ある程度の数量を安定的に同仕様で発注してくれる元請けの管理会社があるからこそできる単価設定であることも多く、手間と時間がかかる小口の発注は受けてくれないことも多いです。
ひとり親方~家族経営の小さな工事店から、多くの職人や営業スタッフを抱えた会社まで様々ですが、当然価格は後者の方が高くなります。
管理会社は複数の小さな工事店を抱えて、グロスで分離発注をしているので、安く発注することができるようになります。
工事業者を選ぶときの注意点
賃貸住宅の工事をメインに仕事を行っている工事店は小さな会社が多いですから、広告を出していたり目立つ店舗を構えていることはまずないです。
大家さんが自力で直接探して発注することは、なかなか難易度が高く、もし見つけることができて直当たりしたとしても、仕事を引き受けてもらえない可能性もあります。
もし今、仕事をしてもらっている工事業者さんの手が悪いと感じるのであれば、やはりまずは、管理会社にキチンと進言して改善させましょう。工事監理は管理会社の仕事です。
それでもダメなら、変更を依頼、もしくは実際に作業中の現場に赴いて作業を確認するのも手です。
どうしても管理会社を経由せず直接工事店に発注したい場合は、信頼できる大家さん仲間に紹介してもらうのが近道です。
管理会社が使っている工事店に、管理会社をすっ飛ばして直接発注することもできなくはないです。
が、ちょっとルール違反です。
当然、管理会社はいい気分はしませんから、管理品質は下がる可能性が高いです。自分で受けていない工事のアフターフォローやクレーム対応だけを喜んでやる管理会社はありません。
また、管理会社と工事店の関係性もギクシャクします。最悪、大口の取引が停止になることもありますから、工事店は慎重になります。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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