賃貸経営の運営記録とは
賃貸経営は短くても数年、多くの場合は数十年、場合によっては2代、3代と続く事業です。
いつ頃どんな修繕をしたのか、入居者の入金状況はどうか、いつどのようなトラブルが発生してどのような対応をしたのか、キャッシュフローはどうなっているのか、収支はどうか、など把握しておかなければいけないことはたくさんあります。
所有物件の経営状態をすべて記憶しておくことは不可能ですから、的確な経営判断を下すためにも、運営情報は記録しておかなくてはいけません。
記録したはいいけれど、紙だったりデータだったりのたくさんの記録があちこちに点在してしまっては見つけられなくなってしまいます。
記録した情報は必要な時にすぐに取り出せ(確認でき)なければないのと同じです。検索が容易なように整理しておかなくてはなりません。
賃貸経営で残しておくべき記録
賃貸住宅の所有者であり、事業主であり、すべての責任を負うことになるのは、当たり前のことですが、大家さんです。
サブリースだから知らなかった、管理会社に全部任せっきりだった、そんなこと聞いてない、などの言い訳は通用しませんから、経営に必要な情報は自らしっかり管理する必要があります。
入居者の記録
顧客である入居者の情報を記録します。
氏名・生年月日・電話番号・連帯保証人などの個人情報から、家賃の入金・滞納状況、督促をしていればその進捗、賃貸借契約・家財保険・保証会社などの更新管理、クレーム対応などの履歴や進捗状況の記録も必要です。
建物の記録
物件の状況を記録します。
いつ巡回点検したか、状況はどうだったか、いつどの箇所でトラブルが起きたか、どのように修繕したか、どこに頼んだか、いくらかかったか、今後見込んでおくべき修繕の予定は、部屋ごとの設備の変更部分はどこか、などを記録して予防保全や積み立てを行います。
収支状況の記録
上記2つの記録と、その月の送金明細書(回収した収益から管理費やその他費用を引いたもの)は、管理委託契約をしていれば管理会社が作成してくれると思いますが、大家さん自身で個別に発注したものや買ったものは当然反映されませんので、正確なキャッシュフロー表は自分で作成する必要があります。
合わせて、損益計算のための帳簿つけも行っておきます。
記録の作成方法
完全に自主管理で賃貸経営をしている大家さんはすべて自分で記録して管理することになりますが、まずそんな大家さんはいません。
清掃業務だけシルバー人材センターに委託している、緊急対応はコールセンターに一次受けを頼んでいる、入居募集は仲介店に委託している、というように一部業務はさまざまな事業者に協力してもらって運営しています。
管理会社に記録してもらう
入居募集や建物管理などを管理会社に業務委託している場合は、委託業務内容の進捗状況は管理会社が記録して、報告書にまとめて月に一度、報告をしてくれることが多いです。
入金の記録も、支払い代行も、クレーム対応も全部してくれますから手間いらずですが、過信は禁物です。
計算を間違えていたり、記載漏れがあったり、報告するまでもないか、と未報告にしてしまうこともあります。特に担当者マターで1物件ごとに個別管理していると、社内での情報共有に難がありますので記録がモレがちです。
どの程度システム管理をされているか、管理委託前に確認した方がいいでしょう。
また、こまめにヒアリングを行うなど「いつもチェックしてるよ」という姿勢をみせておく必要があります。
エクセルを使って自分で記録する
管理会社に業務委託していない項目は、自分で記録を残しておく必要があります。
特に、家賃の入金状況やクレームの履歴など、入居者に関連する記録は間違いがないようにしておかなければなりません。
エクセルは自分の好きなように枠組みできますから、使い勝手がいいですし汎用性も高いです。
しかし、物件数が多くなったり記録が長期間に及ぶと、ファイルが増えるのでどうしても検索性が低くなり、管理が煩雑になります。
また、業務委託先からの報告書類の紐づけは難しいため、別途管理する必要があります。
管理ソフトを導入して効率化を図る
賃貸経営で有用だと思われるソフトウェアは、「賃貸管理ソフト」と「会計ソフト」です。
かつては事業者向けの高価で難しいソフトしかありませんでしたが、ここ最近では、自主管理大家さん向けの賃貸管理ソフトや、クラウド上で安価に使える会計ソフトも増えてきました。
ソフトによっては、入力した項目を連動して統計やグラフ化してくれますので、運営状況を可視化することができます。
お試し期間のあるソフトもありますから、実際に使いこなせるかどうか、使い勝手がいいかなど、試しながら検討することもできます。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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