リフォーム会社の選び方
工事を行う業者さんの中でも、大家さんにとって一番関心が高いのが、内装のリフォームをやってくれる業者さんです。
リフォーム会社の特徴と選び方についてまとめてみます。
どのようなリフォーム会社があるか
大家さんが賃貸住宅の部屋のリフォームを考えたとき、相談できる先は大きく分けると4つあります。
- 入居募集や管理をやってくれている管理会社
- 一般向けに店舗を構えて営業しているリフォーム店
- 広く一般向けには営業していないリフォーム工事店
- クロスや設備などの専門工事店やひとり親方(職人さん)
それぞれに得手・不得手があります。
リフォーム会社の得手・不得手
内装のリフォームを頼む先としていちばんポピュラーなのは、
1.管理会社です。
建物や入居者の管理業務を行っていますから、退去から敷金の清算、工事までの流れはスムーズです。また、その物件の周辺環境や競合物件の動向、家賃相場やトレンドもよく知っていますので、アドバイスを含めた提案が期待できます。
しかし、施工に関しては外注になる場合が多いため、中間マージン分費用は高くなります。
管理会社の社員がまったくの素人だと、工事の進捗確認や不測時の対応などについては意思疎通がうまくいかないことがあります。自社施工とまではいかなくても、社内に工事監理部門をもっている会社の方が安心です。
2.リフォーム店は、どうでしょうか。
新聞に折り込み広告を入れていたり、コマーシャルをしていたり、大きな看板を掲げたリフォーム店に相談してみることもできます。
こういうお店は大体、ショールームを兼ねた路面店があって、突然飛び込みで尋ねても対応してもらえます。専門のデザイナーやコーディネーターがデザインをしてくれて、見積りに納得すれば工事に入ることになります。
しかし、こういったお店でのリフォームは、基本的に実需のお客様向けのサービスですから、賃貸経営の収支には合いません。
ネット検索で出てくるような広告活動を行っているリフォーム店の多くはこのタイプです。
3.はリフォーム工事店です。
1や2のような元請けの会社から工事を受託して施工を行う会社です。
クロス職人や大工さん、電気設備工、配管工などの職人さんを抱え、自社で引き受けきれない部分は専門工事店などと協力しながら、内装工事一式を引き受けます。
リフォーム工事店は、賃貸系が得意な会社と実需系が得意な会社に分かれます。
部材の仕入れ先や作業に違いがあります。大家さんや一般のお客さんから直接仕事を請けるケースは多くないため、ネット検索で引っかかってくることはあまりないです。
大家さんが管理会社などを通さず直接工事を頼むこともできますが、グロスでまとまった仕事を発注するからこそ単価を抑えられるわけですから、単発のちょっとした細かな工事は基本的にはやりたがりません。
営業スタッフやプランナーなどもいませんから、入居者が決まりやすい流行りのデザインとか、きれいな資料や丁寧な説明などは不得手なことが多く、こっちは客だぞ!というようなあまりにカスタマー目線の要求を行うと嫌われます。
さらに突き詰めていくと、
4.職人さんに分離発注、という手もあります。
クロスの貼り替えはクロス屋さん、塗装は塗装屋さん、床やその他の造作、仕上げは内装工さん、水道は水道設備屋さん、電気工事は電機設備屋さん…などなど、それぞれの専門の職人さんや業者さんに直接発注する方法です。
間接費がほとんどかからず、材料費と人工賃で工事ができてしまいます。
しかし、この方法をとるには、工事監理のすべてを大家さんが取り仕切れることが大前提です。
部屋のデザイン、仕様、使う部材、品番、受発注作業、工程管理、施工確認、完工検査、後始末…、なかなかここまでできる方はおられません。ご自分でリフォーム屋ができるレベルです。
リフォーム会社の収益構造
リフォームを行うために必ず必要になる費用は、材料費と施工をする人件費です。
知り合いの職人さんに材料を支給して手間賃を払ってやってもらえれば一番安く済みますが、不備やクレームがあった際には自分で解決しなくてはいけません。
工事店に頼めば販管費がかかりますし、管理会社経由でデザインのアドバイスや工事監理、入居者からのクレーム対応をしてもらえば、当然その間接費用がかかります。
2>1>3>4の順で費用は高くなります。
リフォーム会社を選ぶときの注意点
リフォーム工事を行う時は、工事後の入居者へのフォローについても念頭においた方がいいでしょう。
クロスの捲れや水栓の継ぎ目から水漏れなど、リフォーム直後は結構不具合が出てクレームが入ります。
管理会社を経由せずに大家さんが直接工事を施工会社に発注した場合、管理会社は自分たちが行ってもいない工事に関するクレーム対応は積極的には行ってくれません。
少しのことなら自分で解決できるくらいのスキルを身につけておくか、そのような状況でもフォローしてもらえるような関係性を構築しておきましょう。
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この記事を書いた人
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地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
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