大家さんの仕事とは
大家さんの仕事とは、いったいなんでしょうか?
大家マニュアルが考える、3つの【大家さんの仕事】について考えます。
部屋を探している人に住宅を提供すること
大家さんのいちばんの仕事はなんといってもコレです。
部屋を借りたい人に自分が所有する部屋を貸し付ける人が大家さんです。そして、そのために必要な業務を行うことが大家さんの仕事になります。
例えば、入居者と貸し付けの条件をすり合わせて賃貸借契約を結ぶこと、家賃の回収をしたり、もし滞納があれば督促の仕事もします。
リフォームや設備の修理など入居者が暮らすために必要な住宅環境を整えることも大事ですし、近隣住人同士のトラブルやクレームなどへの対応も行います。
そして、災害や事故で入居者の安全が脅かされないような管理も行いますし、場合によっては、入居者の個人的な生活改善にまで踏み込んでアドバイスをすることもあるかもしれません。
賃貸住宅経営という事業における顧客は入居者です。
慈善事業で大家さんをやっておられる方は少ないでしょうから、ほとんどの大家さんはお客様である入居者に、部屋という商品を提供して、対価を受け取るという営利事業を行っています。
高く貸したいと思えば 商品の価値を高めなくてはいけませんし、競合商品に負けたくないと思えば マーケティングやプロモーションが必要になります。
これらが、まず第一の仕事です。
関連する多くの事業者と協力して事業を行うこと
大家さんの仕事は結構、多岐にわたります。
その昔、戦後住宅不足の需要過多の時代であれば、風呂なしトイレ共同隣の住人の吐息まで聞こえる木賃アパートであっても入居者探しに苦労することはなく、大家さんは左うちわの不労所得だったかもしれません。
しかし、時代の移り変わりとともに、大家さんの仕事と責任の範囲は大きく広く変化しています。
賃貸経営が専業の大家さんであっても、すべての業務を自身で行うことは容易ではなく、関連する多くの事業者さんと協力して運営していかなくてはなりません。
例えば、管理会社であったり仲介店、リフォーム業者さんや設備屋さん、税理士さんや弁護士さんなどの士業の方々との連携も必要です。
これらの業者さんは大家さんにとっては大事な「事業パートナー」です。
お金を払って業務を委託しているのだから、「オレは客だ。黙ってオレの言うとおりやれ!」と、思う気持ちもあるかもしれません。しかし、どうせお金を払うのであれば、嫌々ながらパフォーマンスの低い仕事をやられるより、他のお客様より優先順位高く、すすんで仕事をしてもらった方が絶対に得です。
事業パートナーであるさまざまな事業者を取りまとめ、事業を円滑に推進するための【 マネジメント 】も、大家さんの大事な仕事です。
経営者として価値と利益を生み出し社会に貢献すること
賃貸経営は、参入障壁の低い事業であるとよく言われます。
普通、なにかの事業を興そうと考えたとき、その業界や事業に関する知識や経験やノウハウ、人脈などさまざまなバックボーンが必要です。
いきなり全くの未経験の業種で開業することも可能かもしれませんが、成功する確率は大幅に下がってしまうはずです。しかし大家さんは、賃貸経営のプロとしての経験を積んで事業を始められる方が圧倒的に少ないです。
なぜでしょうか?
大家さんを始める方は、先祖代々引き継がれてきた土地を所有している地主さんであることが多いからです。
土地という、賃貸経営を始めるための基盤になる地面をもうすでに持っている状態ですから、その土地の担保価値相当のお金を工面することもたやすく、長期間のローンを組む決心さえつけば始められる事業なのです。
賃貸経営にはさまざまな知識や経験やリスクヘッジも必要なはずですが、その心配もハウスメーカーや建築会社の一括借上げシステムを活用すれば、毎月、通帳の入金を確認するだけの仕事に変わります。
誤解を恐れずに言うならば、土地(もしくはお金)さえあれば誰にでも始められる事業であり、参入障壁は(お金以外)ないに等しい事業だったのです。
しかしここ10年来、そのような常識は少しずつ変化してきているように感じます。かつてと同じやり方では事業が立ち行かなくなるケースが出始めています。
大家さんは、自分が行っている賃貸住宅の貸し付けを事業であると認識し、経営者としての自覚をもって地域社会へ価値を提供し、それによる利益を生み出していかねばなりません。
経営者であること、これも重要な仕事です。
大家さんの仕事はすばらしい
住宅という、人の生活の根幹を担うものを商品として提供しているのが大家さんです。
寝て、食べて、学んで、働いて、くつろいで、団らんして、愛を育み、子供を育てる…
ヒトの人生の一定期間、一部分を預かる社会的意義の大きな素晴らしい仕事です。
人が集まる場所には、仕事が、お金が、コミュニティが、アイディアが、可能性が生まれます。
大家さんの事業が傾くと、そこに住む入居者も、関わる事業者も、街も、影響を受けます。
きちんと儲けて、また新しい価値を生み出し、地域経済を活性化させていきましょう。
Follow me!
この記事を書いた人
-
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。
【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他
NEW POST
- 火災保険の基本2017.10.12入居者に入ってもらう火災保険
- 火災保険の基本2017.10.12大家さんのための火災保険
- 賃貸経営リスクの基本2017.10.12大家さんが無知であることのリスク
- 賃貸経営リスクの基本2017.10.09天災・事故や事件などの災害発生リスク
CONTACT
送信専用の匿名コンタクトフォームです。お気軽にどうぞ