入居募集のための市場調査とリサーチ

入居者に選んでもらえる物件を作ろうにも、今現在の現状や課題、市場のニーズがわからなければ、的外れな施策になりかねません。

また、管理会社や仲介店のいう家賃相場や入居者ニーズが本当に正しいのかの判断もできません。満室経営の第一歩は市場調査からです。

 

自分の物件を知る

自分の住む家じゃないからでしょうか。賃貸住宅の大家さんは、ご自分の所有物件のことをあまり知らない方がとても多いです。

企業で考えてみてください。自分の会社が何を売っているのかよく知らない、という社長さんはあまりいません。

現状を把握することはマーケティングの第一歩です。

 

1.物件の現況を確認する

竣工図面を確認します。そして現況と変わっている部分をチェックします。

竣工時のままの設備や躯体、内装はこれから手入れをする可能性が高いため、あらかじめ準備をしておく必要があります。

まずは、物件自体の現状を把握します。

2.現時点での募集状況を確認する

入居募集はどこの仲介店から行われているでしょうか。

元付けの管理会社の動きは把握していても、客付けの不動産会社がどのように動いているかは把握していないケースも多いです。

  • 何店舗に情報が回っているのでしょうか。
  • 広告などのプロモーション、募集活動は充分行われているでしょうか。
  • どのような媒体にどのくらい露出しているでしょうか。その内容は適切でしょうか。
  • 古いままの設備や内装の情報や写真が使われていないでしょうか。

募集状況の現状を把握します。

3.現入居者の情報を確認する

今住んでくれている入居者層がこれから募集する層に一番ニアリーです。

単身男性比率が異常に高い物件に、大金をかけてガーリーなリノベーションを施したとしても、入居付けに苦戦することになりかねません。

ターゲットを明確にするために、入居者の現状を把握します。

4.物件の稼働状況を確認する

現時点での入居率はもちろんですが、解約率や平均入居年数、滞納率、家賃の下落率など、期間中の推移をチェックします。

入居年数が極端に短くなっていたり、家賃が大幅に下がっていたりなど、何が原因か突き止めなければならない課題が見つかれば、即対応します。

随時確認してわかっているつもりでも、並べて比べてみると気づいていなかったことが結構あります。

稼働状況の現状を把握することは大事です。

 

インターネットで調べる

インターネットで行う調査ポイントは2つです。

 

1.入居者の気持ちで物件検索をしてみる

まずは「SUUMO」や「LIFULL HOME’S」などで、自分の物件くらいの部屋を探す入居者になったつもりで検索してみましょう。

募集中の部屋が掲載されていないなんてことは論外ですが、検索結果で出てきた物件たちがまさしく競争相手である競合物件です。

  • 自分が探す人の立場だったらどこを見るか?
  • 自分の物件の見え方はどうか?
  • 競合物件と比べて見劣りする部分はないか?

など、現状どのように募集されているのかをしっかり確認しましょう。

ここを疎かにするといくら条件面を見直しても決まらない可能性があります。

2.客観的な定量データを確認する

管理会社や仲介店など現場の最前線で働く人たちから聞く情報はリアルですが、その時たまたまそのような事例が重なったとか、インパクトが強くて頭に残っていたなど、その人自身の主観や定性データに偏ることが多くなりがちです。

参照として、以下のようなサイトから第三者のまとめた定量データも見ておくと、偏ったまま判断をする確率が減ります。

 

不動産ジャパン

▶ 参考:相場・取引動向>賃貸

不動産ジャパンは、公益財団法人不動産流通推進センターが運営する総合不動産情報サイトです。レインズなどに集まるデータを元にした統計情報を公開しています。

正直な印象としては、賃貸のデータは少し信頼度にかけるのですが、たまに確認すると大筋の流れが把握できます。

LIFULL HOME’S

▶ 参考:見える!賃貸経営

ライフルホームズが蓄積しているビッグデータを元にした、賃貸不動産オーナー向けの市場分析、空室率情報サイトです。

割と小単位のエリア情報が確認できます。が、あくまで広告掲載ベースのデータなので、実際の成約ベースとは若干異なるとは思います。

SUUMO

▶ 参考:SUUMO賃貸経営サポート

ホームズ同様に、SUUMO(スーモ)のビッグデータを使った空室対策サポートサイトです。

エリアの家賃相場や周辺物件の設備状況が簡単に確認できます。以前からあったオーナーレポートはスーモを利用している不動産会社向けのサービスだったので、大家さんは直接見ることはできませんでしたが、これは大家さんが自分で調べることができて便利です。

 

現地に行ってみる

自分の物件を見に行ったことがない、という大家さんも実は多いですよね。

物件の管理状態を確認しておく、という意味でももちろん見ておくべきなのですが、どうせならついでに競合物件まで足を延ばしてみましょう。

物件資料では同じようなスペックにしか見えなくても、実際に行って見比べてみると差がよくわかります。共用ポストの状態や清掃の仕方、照明の明るさ、メンテナンス状態や雰囲気など写真やメモに残しましょう。

そして、実際に物件の周辺や駅までのルートを歩いてみると、ターゲットにしている入居者層にどんなことを訴求したらいいかが見えてきます。

机上の調査ではわからなかった、選ばれる理由・選ばれない理由は現地に行くとわかります。

 

仲介業者に聞いてみる

自分の物件について再確認して、ネットで情報を調べて、現地で実際に見てみたら、自分の物件の課題や問題点がおぼろげながらつかめると思います。その情報をもって、実際に募集活動をお願いしている仲介店回りをしてみましょう。

毎日たくさんの物件を見ている仲介店の営業マンからは、最近のトレンドや入居者の傾向などのリアルな情報を得ることができます。

  • 現状ではどこがネックで募集がままならないか
  • どこを解決すれば入居者が決まるか

など、ざっくばらんに腹を割って話した方がいろいろな案を引き出せます。

 

もし可能であれば、仲介店の営業マンに自分の物件の空室と競合物件数部屋とをピックアップしてもらって、お客様(入居者)にするのと同じように案内してもらってはいかがでしょうか。

ここをアピールするのか、ここは弱い点だな、ここで差がつくのか、などがリアルにわかります。

ただ、営業マンはイヤがると思いますが…。

それらの情報を総合して、必要だと判断すれば、募集条件の見直しやリフォームなどのテコ入れなどの商品化、広告の方法などのプロモーションの見直しを順次行います。

 

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この記事を書いた人

管理人 いろは大家マニュアル Site administrator
地主系大家さんを中心に、賃貸経営に関わるさまざまなステークホルダーを支援する仕事をしています。
守備範囲は広く浅いです。専門的な深い部分はすぐに専門家に頼ります。偏りはありますが、近視眼的にはならないように心がけています。鳥の目、虫の目、魚の目で大家さんのお役に立つお仕事をしていきたい(と願っている)。

【保有資格】
宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
相続支援コンサルタント
相続鑑定士
福祉住環境コーディネーター 他

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